日本の利払い負担率は低いから大丈夫?――数字の見方と注意点をやさしく解説
「日本の利払い負担率(ネットベース)は低いから心配ない」という声があります。確かに現在の数字は他国より低めですが、それには理由があります。本記事では、その理由と今後のリスクをわかりやすく説明します。
1)利払い負担率ってなに?
利払い負担率とは、国の税収などに対して、国債の利払いに使う割合を示した指標です。たとえば税収が60兆円で利払いが3兆円なら、負担率は5%になります。
ポイント:
・「ネット」利払い負担率は、受け取る利息などを差し引いた数字。
・国債の残高が大きくても、金利が低ければ負担率は低くなります。
・「ネット」利払い負担率は、受け取る利息などを差し引いた数字。
・国債の残高が大きくても、金利が低ければ負担率は低くなります。
2)なぜ今の日本は負担率が低いの?
最大の理由は、長年続いた超低金利政策にあります。国債の利率が非常に低いため、巨額の国債残高があっても支払う利息は少なく済んでいます。
国債残高 | 平均利率 | 年間利払い |
---|---|---|
1,000兆円 | 0.5% | 約5兆円 |
(参考)同額で利率2% | 2.0% | 約20兆円 |
※数値は概算例。実際の利払い額は年度や債券構成によって変動します。
3)「今低い」=「将来も低い」ではない
現在の負担率は低くても、金利が上昇すれば利払い額は急速に増えます。特に日本のように国債残高が大きい国では、その影響は非常に大きくなります。
例:
金利が1%上がると、数兆円単位で利払いが増える可能性があります。これは税収の数%分に相当し、社会保障や教育など他の予算を圧迫します。
金利が1%上がると、数兆円単位で利払いが増える可能性があります。これは税収の数%分に相当し、社会保障や教育など他の予算を圧迫します。
4)よくある誤解と注意点
Q1. 「負担率が低いから借金しても平気?」
A. 今は低いですが、金利が上がると急に重くなるため、将来のリスクを無視してはいけません。
Q2. 「他国と比べて低い=安心」?
A. 他国と比べるのは参考になりますが、日本は国債残高が非常に大きいので、金利上昇時の跳ね上がり方も他国より急です。
5)まとめ
日本のネット利払い負担率が低いのは事実ですが、それは長年の低金利に支えられている一時的な状況です。将来の金利上昇に備え、財政の持続性を考える必要があります。
「今大丈夫」だからといって「未来も大丈夫」とは限らないのです。
「今大丈夫」だからといって「未来も大丈夫」とは限らないのです。
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